ネトル『パーソナリティを科学する』

ネトル『パーソナリティを科学する』(白揚社, 2009)

パーソナリティの研究は、「ビッグファイブ」と呼ばれる5つの特性に収斂しつつあります。その5つとは、外向性、神経質傾向(情緒安定性)、誠実性(良識性)、調和性(協調性)、経験への開放性(知的好奇心)です(特性のネーミングについては海外でも日本でもいくつかのバリエーションがあるので、カッコ内に別名を入れました)。私たちのパーソナリティは、この5特性がそれぞれ重みづけられたバリエーションのひとつとしてあるというわけです。

もちろんパーソナリティだけで、その人の行動が予測できるわけではありません。しかし、5因子の特性傾向は一貫したものとしてあり、その外側にその人の特徴的な行動パターンがあり、そしてさらにその外側にその人独自のパーソナル・ライフヒストリーがあるという構造になっています。ですから、その人のライフヒストリーを予測することはできませんが、その時々の重要な分岐点においては、5特性が効いてくるでしょう。

双生児研究などの成果から、5特性は、遺伝子によって50%が決定されています。残りの半分はその人の生活経験によるものです。ちなみに、出生順とパーソナリティの関係はほぼないということが検証されています。出生順が家族内の力学に影響することは確かですが、それを大人の性格全体に一般化するのは無理でしょう(これはアドラー心理学研究者にとっては無視できない問題です)。

進化心理学的な見方でいえば、外向性は「報酬に対する欲求」に基づいています。神経質傾向は「脅威に対する警戒」に、調和性は「他者に対する配慮」に、経験への開放性は「自分の中の探索欲」に、誠実性は「自分をコントロールすること」に基づいているといえます。このように考えることで、人間が多様な環境に適応するために、多様なパーソナリティを持つに至った理由を納得することができます。

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