ピーターソン『ポジティブ心理学入門:「良い生き方」を科学的に考える方法』

ピーターソン『ポジティブ心理学入門:「良い生き方」を科学的に考える方法』(春秋社, 2012)

Christopher Peterson: A Primer in Positive Psychology (Oxford University Press, 2006)の翻訳。

原書は、B5判で314ページあり、訳書は、より小さいA5判で337ページなので、本文のかなりの部分を省略してある。もし全訳したらこの倍くらいのページ数になるのではないかと思う。また、文献リストと索引も省略してある。

ある章全体を省略したのではなく、各章の一部の項や、詳細な記述部分を省略してある。たとえば、原書118-119ページの「個人差としての楽観性」という項は完全に省略されている。ここには楽観性の研究の先駆としてアドラーが言及されているので、省略されたのは残念だ。このように、ちょっと専門性が高いと感じられた部分が省略されているようだ(全部を検証したわけではないが)。

抄訳ではあるけれども、ポジティブ心理学の全体像とそれぞれの研究課題を知るためには良い本だ。この本を元にして、詳しく知りたいところは原書をあたってみるという使い方もできる。原書には文献リストも索引も完備してある。

もくじ
1. ポジティブ心理学とは何か?
2. ポジティブ心理学について学ぶとは—スポーツ観戦ではないということ
3. 気持ちよさとポジティブな経験
4. 幸せ
5. ポジティブ思考
6. 強みとしての徳性
7. 価値観
8. 興味、能力、達成
9. ウェルネス
10. ポジティブな人間関係
11. よい制度
12. ポジティブ心理学の未来

ポジティブ心理学は「何が人生を生きる価値のあるものにするのか」という議論をする。さまざまな研究データと議論を経て、この本を読み終える頃には「他人は大切だ」という回答を得ることになる。個人の関心(interest)が、自分自身から、家族、友人、町、国、世界へと広がることで、人々がみな仲良くやっていくことができるだろうと予測する。それはアドラーが提起した「共同体感覚(social interest)」に合致するように私には思える。

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