ガルウェイ『インナーワーク』

ティモシー・ガルウェイ『インナーワーク』(日刊スポーツ出版社, 2003)

同じ著者の『インナーゲーム』の続編にあたるが、テニスやスポーツに特段の興味のない人は、こちらを読んだ方がすっきりとするかもしれない。

古典的なコーチはこのように導く。つまり、正しいイメージと現状を比較し、すべきことをするように、すべきでないことをしないように指示する。その結果として、外からの強制によって自分の行動が変えられていく。

それに対して、ガルウェイは、変化を起こすより良い方法を「ACT」という頭文字にまとめて提案する。

(Awareness)クリーンな知覚:ありのままを見る

  • 結果に直接関係しない中立的な要素に知覚を集中する
  • ショットの成否は関心の対象外となる

(Choice)選択は選択者に任せる

  • (司令塔のように)メニューを押しつけるのではなく、
  • 「何を、なぜ変化させたいのか」をしっかりと確認する
  • 自由意思で選択したことに対しては集中力が持続しやすい

(Trust)セルフ2を信じる

  • 習得する主役はコーチではなく、本人の内側の能力

ガルウェイは、癖や習慣は個性ではない、と言い切る。人間においては、癖や習慣を変化させることに対して、あらゆる抵抗が起こる。命令や評価による威圧的な古典的プロセスはこの抵抗を増大させるだけであって、結果として変化させるという目的は達成できずに終わる。そうではなく、変化を起こさせるにはどうすればいいのかの解法として上に挙げたACTのプロセスがある。

臨床心理学は、クライエントに起こる抵抗をどのように操作するかに焦点を合わせてきた。(普通の人へのカウンセリングとしての)コーチングにおいても、同様に抵抗をどうするかが焦点であり、その成果としてクライエントの中に変化を生み出そうとするのだ。

トレーニングにおいても、学習においても集中することの大切さを私たちは知っている。しかし、集中しようとすればするほど集中できないというパラドクスがあることも同時に体験している。同様に、興味を持てという強制もできない。興味を持てといわれた瞬間、もうそのことには興味が持てない。集中や興味というようなインナーワーク的活動に対して、コーチができることは評価や批評をしないことである。

こう書いてくると、つまり、コーチの仕事とは、教師のしないことをし、教師がすることをしない、というふうにまとめられそうだ。

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